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【鉄骨造の基本】接合部のボルトはなぜ「2本以上」なのか?

【鉄骨造の基本】接合部のボルトはなぜ「2本以上」なのか?

【鉄骨造の基本】接合部のボルトはなぜ「2本以上」なのか?
1本留めの可否と構造力学

建築の鉄骨造において、接合部のボルトは「2本以上」で留めることが定石とされています。しかし、構造力学や法的な観点から「1本で留めること(1ピン接合)」は絶対に不可能なのか、疑問に思ったことはないでしょうか?

今回は「鋼構造設計規準」の記述を紐解きながら、ボルト接合における本数の規定と、その技術的な背景について解説します。

1. 規準はどう定めているか?

結論から言うと、「純粋なピン接合(引張・圧縮のみを伝達する接合)」として設計する場合に限り、1本(1ピン)で留めることは技術的・法的に可能です。しかし、一般的な接合においては「2本以上」が必須となります。

構造耐力上主要な部材の接合部(原則)
「ピン接合とする場合を除き最小2本以上配置し…」と規定されています。つまり、完全なピン(ヒンジ)として働く部位については、例外として1本での接合が認められています。

高力ボルトの配置
一方で、高力ボルトについては「最少2本以上配置する」と明確に規定されており、ピン接合の例外表記がありません。これは、高力ボルトが「摩擦接合」を前提としているためです。1本だけで締め付けると、部材が回転した際に摩擦面の密着が維持できず、所定の摩擦耐力を発揮できないため、高力ボルトを使用する以上は最低2本で面を固定する必要があります。

2. なぜ一般的な接合では「2本以上」が必要なのか?

純粋なピン接合を除き、1本留めがNGとされるのには、構造力学と現場施工の両面から明確な理由があります。

① 回転の防止(不安定架構の回避)

1本留めは支点が1つになるため、外力や自重によって部材がブランコのように回転してしまいます。大梁に対する小梁の接合など、応力を十分に伝達しつつ部材のねじれや回転を防ぐためには、最低2本のボルトで「線」または「面」として固定する必要があります。

② フェイルセーフ(冗長性の確保)

万が一、その1本のボルトが破断したり脱落したりした場合、接合部が完全に崩壊し、即座に致命的な事故に繋がります。2本以上配置することで、1本に不具合が生じても急激な崩壊を防ぐ「冗長性(リダンダンシー)」を持たせています。

③ 施工時(建方)の安全性確保

鉄骨をクレーンで吊り上げて組み立てる際、ボルト1本で仮留めした状態では、風やクレーンの動きで部材が回転し、作業員が激突されるなど非常に危険です。最低2本をスプライスプレートに通すことで部材の方向が定まり、安全に本締め作業に移行できます。

3. 1本(1ピン)留めが採用される実例

では、例外として認められる「純粋なピン接合」とはどのようなものでしょうか。構造耐力上主要な部分であっても、完全な軸力部材であれば、1本(ピン)での接合が採用されます。

  • ターンバックル付きブレース(筋交い)の端部
  • タイロッド(吊り材)のクレビス(U字金具)接合
  • 吊り屋根構造などの大規模なピンジョイント(鋳鋼製の巨大なピン1本で留めるケース)

まとめ

一般的な柱や梁の接合において、高力ボルトの摩擦面確保や、架構の安定性・安全性の観点から、1本留めは実務上「不可」です。しかし、力学的な「完全なピン」を具現化する引張材の端部などであれば「可」となります。

定石とされているルールにも、必ず力学的な根拠と現場の安全という裏付けがあります。設計の際には、こうした「なぜ」の部分を理解しておくことが重要です。
© ARKHITEK Technical Note

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