薄板軽量形鋼造告示
平成13年国土交通省告示第1641号 完全解説ガイド
建築基準法施行令第80条の2第1号に基づく技術的基準
薄板軽量形鋼造とは?
平成13年国土交通省告示第1641号は、厚さ2.3mm未満の薄い鋼板を加工して作られた部材(薄板軽量形鋼)を用いる建築物の構造設計や施工に関する包括的な技術基準を定めたものです。この告示により、木造軸組工法やツーバイフォー工法のように、標準化された安全な枠組壁工法として広く利用される道が開かれました。
🎯 このサイトの目的
- 告示の複雑な条文を、図や表を用いて分かりやすく解説します。
- 実務設計や施工管理で直面する技術的な要点を整理します。
- 設計・施工時の具体的な注意点を明確にし、品質確保を支援します。
- 耐久性や耐火性など、よくある質問への回答を最新情報に基づいて提供します。
薄板軽量形鋼造の主な特長
高い耐震性
構造全体を面で支える「枠組壁工法」により、地震の揺れを建物全体で吸収・分散させ、優れた耐震性能を発揮します。
優れた耐久性
主要構造材は錆に強い亜鉛めっき鋼板。シロアリの被害もなく、適切なメンテナンスで長期間高い性能を維持します。
高い設計自由度
強度が高いため、柱の少ない広々とした空間や、大きな窓の設置、個性的な内外装デザインが可能です。
優れた耐火性
不燃材料である鋼材と、せっこうボード等の下地材により、法令で定められた高い耐火性能を確保しています。
高い断熱・気密性
構造体外部を断熱材で覆う外断熱工法などが容易で、夏は涼しく冬は暖かい、エネルギー効率の良い快適な空間を実現します。
リサイクル可能
主要な構造部材である鉄はリサイクル率が非常に高く、環境負荷の少ないサステナブルな建築物です。
1. 告示の概要と沿革
1.1 制定の背景
2000年の建築基準法改正により、建築物の仕様を詳細に定める「仕様規定」から、要求される性能を満たせば多様な設計が可能となる「性能規定」へと移行しました。これを受け、枠組壁工法の一種である薄板軽量形鋼造について、その性能を評価し安全性を確保するための統一された技術基準として本告示が制定されました。これにより、個別の認定を受けることなく、告示に基づいた設計・施工が可能となりました。
1.2 制定・改正履歴
| 年月日 | 内容 | 主な改正点 |
|---|---|---|
| 平成13年11月15日 | 告示第1641号制定 | 薄板軽量形鋼造の技術基準を初めて規定 |
| 平成19年5月18日 | 告示第605号改正 | 構造計算方法の合理化 |
| 平成24年9月24日 | 告示第1042号改正 | 階数制限の合理化、混構造の許可 |
| 平成27年6月30日 | 告示第816号改正 | 適用除外規定の整理 |
| 平成28年6月1日 | 告示第796号改正 | 構造計算の明確化 |
1.3 薄板軽量形鋼造の定義
🔍 定義(告示第一項より)
薄板軽量形鋼造とは、薄板の構造用鋼材で、冷間成形による曲げ部分(当該曲げ部分の内法の寸法を当該薄板の構造用鋼材の厚さの数値以上とする)又はかしめ部分を有するもの(薄板軽量形鋼)を使用した枠組を構造耐力上主要な部分に用いる構造をいいます。
1.4 適用範囲と制限
基本的な階数制限
- 地階を除く階数:3階以下
- 薄板軽量形鋼造単独の場合
- 他構造との併用でも同様の制限
保有水平耐力計算等適用時の制限緩和
- 地階を除く階数:4階まで可能
- 保有水平耐力計算による安全性確認が必要
- 特定の技術基準の適用除外が可能
他構造との混構造
- 鉄骨造との併用
- 鉄筋コンクリート造との併用
- 木造との併用(部分的)
2. 材料と断面形状
2.1 材料規定の詳細
厚さの規定
| 部材種別 | 最小厚さ(mm) | 最大厚さ(mm) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 枠組材(一般) | 0.4 | 2.3未満 | 構造耐力上主要な部分 |
| 柱・横架材・斜材 | 0.8 | 2.3未満 | より厚い材料が必要 |
| トラス(一般) | 0.8 | 2.3未満 | 構造計算により0.6以上も可 |
品質要求
❌ 使用不可の欠陥
- 折れ
- ゆがみ
- 欠け
- その他耐力上の欠点
✅ 品質管理のポイント
- 受入検査の徹底
- 適切な保管方法
- 運搬時の注意
- 施工前の再確認
2.2 断面形状と最小寸法
薄板軽量形鋼には様々な断面形状があり、それぞれ柱、梁、壁のたて枠など、用途に応じて使い分けられます。
| 断面形状 | 高さ(mm) | 幅(mm) | リップ長さ(mm) | 用途・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 軽角形鋼 | 89以上 | 44.5以上 | – | 柱材として最適、座屈耐力大 |
| 軽溝形鋼 | 91以上 | 30以上 | – | 梁材として使用、シンプルな形状 |
| 軽Z形鋼 | 89以上 | 40以上 | – | 母屋材として使用、効率的な断面 |
| リップ溝形鋼 | 80以上 | 30以上 | 12以上 | 座屈補剛効果、汎用性高い |
| リップZ形鋼 | 89以上 | 40以上 | 12以上 | 高い曲げ耐力、母屋材として最適 |
2.3 表面処理・防錆対策
めっき仕様
| めっき記号 | 付着量(g/m²) | 適用箇所 | 耐用性 |
|---|---|---|---|
| Z27 | 270以上 | 一般部位(最小仕様) | 標準 |
| Z35 | 350以上 | 湿潤環境 | 高耐久 |
| Z45 | 450以上 | 厳しい環境 | 長期耐久 |
防食措置の詳細
- 異種材料接触部:ゴムシート等による絶縁処理
- 木材防腐剤影響部:特別な防食措置が必要
- 湿潤部:より厚いめっきまたは追加保護
- 接合金物:同等以上の防錆処理
3. 技術的基準の詳細
3.1 土台の設計
設置要件
寸法・緊結要件
| 項目 | 基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 土台寸法 | 丈38mm以上、幅89mm以上 | 基礎・床根太との緊結を考慮 |
| アンカーボルト径 | 12mm以上 | M12以上のボルト使用 |
| アンカーボルト長さ | 250mm以上 | 基礎への十分な定着長 |
| ボルト間隔 | 2m以下 | 隅角部・継手部に必ず配置 |
3.2 耐力壁の設計
耐力壁は、たて枠、上下枠で構成された枠組に、構造用合板などの面材を釘やねじで取り付けた壁で、地震や風の力に抵抗する重要な部分です。
基本要件
🎯 重要な設計要件
- 最小長さ:45cm以上
- たて枠間隔:50cm以内
- 耐力壁線間距離:12m以下
- 囲まれた面積:72m²以下
壁材と接合仕様
| 壁材種類 | 厚さ | 接合材 | 外周部間隔 | その他部間隔 |
|---|---|---|---|---|
| 構造用合板 構造用パネル パーティクルボード MDF |
9mm以上 (MDF:7mm以上) |
ドリリングタッピンねじ | 22.5cm以下 | 45cm以下 |
| スクリューくぎ | 7.5cm以下 | 15cm以下 | ||
| せっこうボード (両面張り) |
12.5mm以上 | ドリリングタッピンねじ | 15cm以下 | 30cm以下 |
端部接合の詳細
• 鋼板添え板:厚さ3.2mm以上
• ドリリングタッピンねじ:径4mm以上、6本
• ボルト:径12mm、鋼板添え板経由で緊結
• または同等以上の接合方法
3.3 柱・横架材・斜材
材料・寸法要件
- 材厚:0.8mm以上の薄板軽量形鋼
- 有効細長比:柱200以下、その他250以下
- 組み合わせ:2以上の薄板軽量形鋼を使用
- 柱脚:基礎に確実に緊結
部材間接合の詳細
| 接合部位 | ねじ径 | 間隔 | 配置 |
|---|---|---|---|
| フランジ部分 | 4mm以上 | 30cm以下 | 1列配置 |
| ウェブ部分 | 4mm以上 | 30cm以下 | 2列配置 |
3.4 小屋組・屋根版
基本構成要件
- 屋根下地材:構造用合板等を使用
- 水平力伝達:十分な剛性・耐力を確保
- たるきつなぎ:構造耐力上有効に設置
- 振れ止め:水平力に対する安全性確保
トラスの設計要件
- 基本厚さ:0.8mm以上
- 構造計算により0.6mm以上も可
- 荷重・外力に対する構造耐力上の安全性確保
- 頭つなぎ・上枠への確実な緊結
4. 構造計算
4.1 適用可能な構造計算方法
保有水平耐力計算
令第81条第2項第1号イ
最も高度な計算方法
限界耐力計算
令第81条第2項第1号ロ
変形性能重視の計算
許容応力度計算等
令第82条各号・第82条の4
基本的な計算方法
4.2 有効断面の算定
基本概念
有効断面とは、薄板軽量形鋼の断面形状及び座屈の種類に応じて、板要素のうち構造耐力上有効に圧縮応力度を負担する部分の断面です。
有効断面面積の算定式
• Ae:板要素の有効断面の面積(mm²)
• b:板要素の幅(mm)
• t:板要素の厚さ(mm)
• λp:板要素の一般化幅厚比
一般化幅厚比の算定
• λp:板要素の一般化幅厚比
• F:基準強度(N/mm²)
• σp:板要素の弾性座屈強度(N/mm²)
4.3 許容応力度
圧縮材の座屈許容応力度
| 一般化有効細長比 | 長期許容応力度 | 短期許容応力度 |
|---|---|---|
| λc ≤ 1.3の場合 | F × [1 – 0.24λc²/(3-2λc²+2λc³/1.3)] | 上記×1.5 |
| λc > 1.3の場合 | F × 0.85/λc² | 上記×1.5 |
制限事項
- 軽角形鋼以外の場合
- 構造用合板等による座屈補強がない場合
- 固有値解析等による計算を行わない場合
上記の場合、長期許容応力度は基準強度Fの0.45倍を上限とします。
5. 設計フロー
ここでは、戸建住宅を例に、実際の設計プロセスと構造計算の流れを具体的に解説します。
5.1 設計プロセス
6. 他の工法との比較
建築工法を選ぶ際には、それぞれの特長を理解することが重要です。ここでは、薄板軽量形鋼造を他の主要な工法と比較します。
| 項目 | 薄板軽量形鋼造 | 木造 (軸組/2×4) | 重量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート(RC)造 |
|---|---|---|---|---|
| 耐震性 | 非常に高い |
高い |
非常に高い |
非常に高い |
| 耐火性 | 高い |
燃えやすい |
耐火被覆が必要 |
非常に高い |
| 耐久性 | 非常に高い |
腐朽・蟻害対策要 |
非常に高い |
非常に高い |
| 工期 | 短い |
普通 |
やや長い |
長い |
| コスト(坪単価) | 中程度 |
比較的安価 |
高価 |
非常に高価 |
| 設計自由度 | 高い |
高い(軸組) |
非常に高い |
制約あり |
| 環境性能 | リサイクル性◎ |
再生可能資源 |
リサイクル性◎ |
リサイクル難 |
7. 将来性と持続可能性 (SDGs)
薄板軽量形鋼造は、その優れた特性から今後のさらなる普及が期待されており、持続可能な社会の実現にも貢献する工法です。
中層建築物への展開
技術開発が進み、現在では4階建て以上の集合住宅や商業施設など、中層建築物への適用も可能になっています。都市部での土地有効活用に貢献します。
モジュール建築・オフサイト化
工場で内装や設備まで組み込んだ箱型のユニット(モジュール)を生産し、現場で組み立てる工法との相性が抜群です。工期のさらなる短縮と品質の安定化が期待されます。
BIMとの連携
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と呼ばれる3次元設計データとの親和性が高く、設計から生産、施工までのプロセスをデジタル化することで、生産性の飛躍的な向上が見込めます。
SDGsへの貢献
リサイクル率90%以上という鉄の特性を活かし、資源の循環に貢献します。また、工場生産による現場廃棄物の削減や、高断熱化による省エネルギー性能も、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に繋がります。
8. よくある間違いと対策
薄板軽量形鋼造の性能を最大限に引き出すには、特有の注意点を理解することが不可欠です。ここでは設計・施工段階で陥りがちな間違いとその対策を解説します。
⚠️ 間違い:ねじの過剰な締め付け(オーバードライブ)
インパクトドライバーなどでねじを強く締めすぎると、めっき層を突き破って鋼板が陥没し、接合部の耐力が低下するだけでなく、錆の原因にもなります。特に薄い鋼板ほど注意が必要です。
✅ 対策:適切な工具とトルク管理
クラッチ付きの電動ドライバーを使用し、適切なトルクで締め付けることが重要です。ねじの頭が面材にわずかに沈む程度が適正な締め付けの目安です。
⚠️ 間違い:耐力壁の連続性の不理解
上下階で耐力壁の位置がずれていると、地震や風の力をスムーズに基礎まで伝えることができません。特定の場所に力が集中し、建物の損傷につながる可能性があります。
✅ 対策:上下階の耐力壁直下率の確認
設計段階で、上下階の耐力壁が可能な限り一致するように計画することが重要です。構造計算において、力の伝達が適切に行われているかを確認します。
⚠️ 間違い:熱橋(ヒートブリッジ)への配慮不足
鋼材は木材に比べて熱を伝えやすいため、断熱ラインが途切れる部分(熱橋)があると、そこから熱が出入りし、結露の原因や断熱性能の低下につながります。
✅ 対策:外張り断熱や断熱材の適切な施工
建物を外側から断熱材で包み込む「外張り断熱工法」が最も効果的です。壁内に断熱材を入れる場合でも、鋼材と室内側の間に断熱層を設けるなどの工夫が必要です。
9. 用語集
- 有効断面 (Effective Section)
- 薄い鋼板は圧縮力を受けると波打つように変形(座屈)し、断面全体が有効に働かなくなります。構造計算において、この座屈の影響を考慮し、実際に耐力として期待できる部分だけの断面を「有効断面」と呼びます。
- 座屈 (Buckling)
- 柱などの細長い部材が圧縮力を受けた際に、横方向に弓なりに変形する現象。薄板軽量形鋼造では、部材全体の座屈のほか、フランジやウェブといった板要素が局部的に波打つ「局部座屈」の検討が重要になります。
- 有効細長比 (Effective Slenderness Ratio)
- 部材の座屈のしやすさを示す指標。部材の長さを断面の性能(断面二次半径)で割って算出します。この値が大きいほど座屈しやすくなります。告示では、部材ごとにこの値の上限が定められています。
- 枠組壁工法 (Wall Frame Construction)
- 柱や梁ではなく、枠組材と面材で構成された壁と床で建物を支える構造形式。ツーバイフォー工法が代表例。地震や風の力を「面」で受け止めて分散させるため、高い耐震性を発揮します。
- リップ (Lip)
- リップ溝形鋼などの断面の縁にある、内側に折り返された小さな部分。このリップがあることで、板要素の剛性が高まり、局部座屈に対する抵抗力が向上します。
- ドリリングタッピンねじ (Self-Drilling Tapping Screw)
- 先端がドリルの刃のようになっており、鋼板に下穴を開けながら、ねじ山を切り、締め付けまでを一度に行えるねじ。薄板軽量形鋼造の接合で最も一般的に使用されます。
- 熱橋 (Thermal Bridge / Heat Bridge)
- 建物の断熱層が途切れている部分や、他の部分より熱を伝えやすい材料が使われている部分のこと。熱橋があると、そこから熱が逃げたり侵入したりして、断熱性能の低下や結露の原因となります。
10. よくある質問(FAQ)
基本制限:地階を除く地上3階建てまでが原則です。
制限緩和:令第81条に規定される「保有水平耐力計算」という高度な構造計算を行い、安全性を確認することで、地上4階建てまで建築することが可能です。ただし、設計の難易度が上がるため、経験豊富な設計者に依頼することが重要です。
一概には言えませんが、高品質な木造住宅(ツーバイフォーなど)と同等か、やや高価になる傾向があります。部材費は木材より高い場合がありますが、工場でのプレカットにより現場作業が減り、工期が短縮されるため、人件費や仮設費を含めたトータルコストでは同等レベルになることも多いです。
部材が工場で精密に加工され、現場では組み立てる作業が中心となるため、天候に左右されにくく、工期が安定しています。一般的な戸建住宅の場合、基礎工事完了後の建方(骨組みの組立)は数日で完了し、木造に比べて全体工期を1~2ヶ月程度短縮できる可能性があります。
最大の違いは構造形式です。
- 一般的な軽量鉄骨造:柱と梁で骨格を構成する「軸組構造(ラーメン構造)」が多いです。
- 薄板軽量形鋼造:壁・床・天井の「面」で建物を支える「枠組壁工法」です。
枠組壁工法は、地震や風の力を建物全体に分散させるため、変形が少なく高い耐震性を発揮します。
法定耐用年数と実際の寿命は異なります。
- 法定耐用年数:税法上の資産価値を計算するための年数です。鋼材の厚みにより異なり、3mm以下の場合で27年と定められています。
- 実際の寿命(耐久性):使用される亜鉛めっき鋼板は非常に錆びにくく、適切な防錆処理とメンテナンスを行えば、100年以上の耐久性も期待できるとされています。
固定資産税の評価額は、主に「主体構造部」と「仕上げ材」で評価されます。薄板軽量形鋼造は「鉄骨造」に分類されるため、構造躯体の評価は木造より高くなります。しかし、建物全体の評価額は内外装の仕様にも大きく左右されるため、一概に木造より著しく高くなるとは限りません。
地震保険料は建物の構造(イ構造・ロ構造)によって決まります。薄板軽量形鋼造は、耐火建築物や準耐火建築物の仕様を満たすことで、保険料が割安な「イ構造」に該当させることが可能です。これにより、木造(ロ構造)に比べて保険料を抑えることができます。
非常に高いです。構造材である鋼材は不燃材料であり、さらに壁や天井を覆うせっこうボード(石膏ボード)には、熱を吸収・分解する結晶水が含まれています。火災時にはこの結晶水が水蒸気となって放出されることで、温度上昇を遅らせ、隣室への延焼を効果的に防ぎます。
鋼材は木材より熱を伝えやすいため(熱橋)、断熱設計が重要です。壁内に断熱材を充填する「内断熱」に加え、構造体の外側を断熱材で覆う「外張り断熱工法」を併用することで、熱橋の影響を大幅に減らし、非常に高い断熱・気密性能を実現できます。これにより壁内結露も抑制し、建物の耐久性を高めます。
鉄は音を伝えやすい性質がありますが、適切な対策で高い遮音性能を確保できます。
- 壁:壁内にグラスウールなどの吸音材を充填し、せっこうボードを二重に張ることで、隣室への音漏れを大幅に低減します。
- 床:上下階の音に対しては、床の構造材と仕上げ材の間に防振材を入れたり、遮音マットを敷いたりする対策が有効です。
はい、その可能性があります。鋼材が電波を遮蔽する「シールド効果」により、室内で携帯電話の電波が弱まることがあります。対策としては、Wi-Fi環境を整備し、通話はWi-Fi通話機能を利用するのが最も効果的です。また、窓際に電波が強い場所を確保する、必要に応じて室内用の小型アンテナを設置するなどの方法があります。
雷が落ちやすくなることはありません。むしろ、導電性の高い鉄骨フレームが電気をスムーズに地面へ逃がす「かご効果(ファラデーケージ)」により、建物内部の人間や電化製品は安全に保護されます。これは自動車の中にいると安全なのと同様の原理です。
適切な断熱設計がされていれば、木造住宅よりも快適な場合があります。特に外張り断熱を採用した場合、太陽の熱が構造躯体に蓄積される前に遮断するため、室内の温度上昇が緩やかになります。高い気密性と計画換気により、エアコンの効率も良くなります。
基礎断熱が非常に有効です。基礎の立ち上がり部分を断熱材で覆うことで、地面からの冷気をシャットアウトします。これにより、1階の床下空間が室内とほぼ同じ温度環境になり、木造住宅で感じがちな足元からの底冷えを大幅に軽減できます。
鋼材には電磁波を遮蔽する効果があります。送電線など外部からの電磁波の影響を低減する効果が期待できます。一方で、室内での携帯電話の電波が弱まる可能性があるのはこのためです。
部材の用途により異なります:枠組材(一般)は0.4mm以上2.3mm未満、柱・横架材・斜材は0.8mm以上2.3mm未満が基本です。
JIS規格の溶融亜鉛めっき鋼板(Z27以上)を使用し、極めて高い防錆性能を持ちます。シロアリの被害もなく、適切に施工されれば非常に高い耐久性を発揮します。
主にJIS G 3302(溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯)に規定される鋼材が使用されます。強度区分としてはSGH400(引張強さ400N/mm²以上)などが一般的です。
告示では「径4mm以上のドリリングタッピンねじ」と規定されています。鋼材同様、錆を防ぐために亜鉛めっきなどの表面処理が施されたものを使用する必要があります。
工場であらかじめ加工されるため現場での切断は少ないですが、やむを得ず切断した場合は、亜鉛めっき成分を含んだ補修塗料(ジンクリッチペイントなど)を塗布して防錆処理を行います。
特に指定はありませんが、一般的にはグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材が壁内に充填されます。外張り断熱では、ポリスチレンフォームなどのボード系断熱材が使われます。
はい、可能です。1階を鉄筋コンクリート造(RC造)や重量鉄骨造の店舗やガレージとし、その上に薄板軽量形鋼造の住居を乗せる混構造建築物などが設計できます。
部材強度が高いため、木造に比べてより大きなスパン(柱間の距離)を確保でき、大開口や広々とした吹き抜け空間の設計が比較的容易です。ただし、耐力壁の配置バランスを考慮した構造計算が必須です。
3階建ての場合、2階建てに比べて地震や風の力による影響が大きくなるため、より多くの耐力壁が必要になります。また、構造計算は許容応力度計算が必須となり、より詳細な検討が求められます。
はい、可能です。せっこうボードを二重に張るなど、仕様を強化することで、建築基準法で定められた準耐火構造や1時間耐火構造などの認定に対応でき、防火地域での建設も可能です。
基本的には木造住宅で用いられる布基礎やべた基礎と同様ですが、アンカーボルトの設置位置やホールダウン金物の取り付け方法などが異なります。土台と基礎を緊結するための専用の金物を使用します。
スタッド(たて枠)には、あらかじめ配線・配管用の孔が開けられていることが多く、壁内での作業が容易です。設計段階で配線・配管ルートを明確にしておくことが重要です。
屋根形状の制限は特にありません。切妻、寄棟、片流れ、陸屋根など、自由なデザインが可能です。トラス(小屋組)を用いることで、複雑な屋根形状にも対応できます。
積雪荷重を考慮した構造計算が必須です。特に屋根の部材は、より強度のあるものを選定する必要があります。また、断熱性能を高く設定し、結露対策を徹底することが重要です。
仕上げ材に特別な制限はありません。外壁は窯業系サイディング、金属サイディング、塗り壁など、内装はビニールクロス、塗装、板張りなど、一般的な住宅で使われるほとんどの仕上げ材を使用できます。
はい、比較的容易です。耐力壁以外の壁は比較的自由に撤去・移動が可能なため、間取り変更がしやすいです。増築も既存構造体との接合を適切に設計することで対応可能です。
法的に必須の特別な資格はありませんが、工法の特性を理解している必要があります。日本CFS建築協会などが主催する研修や講習会を受講した技術者がいる施工業者を選ぶと安心です。
部材は工場で精密にプレカットされてくるため、現場での加工は最小限です。やむを得ず加工する場合は、専用の工具(メタルカッターなど)を使用し、切断面には防錆処理が必要です。
基礎の水平精度(レベル)が最も重要です。基礎が正確でないと、その上に乗る壁パネルにも歪みが生じ、建方精度に大きく影響します。建方中は、垂直・水平を常に確認しながら作業を進めます。
パネル化されていても人力で運べる重さのため、小規模な住宅であればクレーンなしでの施工も可能です。ただし、作業効率や安全性を考慮して、小型のクレーンを使用することが一般的です。
鋼材自体は濡れてもすぐに錆びるわけではありませんが、構造用面材や断熱材が濡れるのは避けるべきです。雨が予想される場合は、ブルーシートなどでしっかりと養生することが重要です。
薄板軽量形鋼造の施工実績が豊富かどうかを確認することが最も重要です。協会の会員であるか、研修を受けた技術者がいるかどうかも判断基準になります。過去の施工例を見せてもらうのも良いでしょう。
はい、可能です。新築時に計画する場合は、その荷重を考慮して屋根の構造計算を行います。後から設置する場合も、専門家による構造的な安全性の確認が必要です。
主に「ドリリングタッピンねじ」と呼ばれる、下穴を開けながら締め付けができる特殊なねじを使用します。告示で径や間隔が規定されており、構造計算に基づいて本数を決定します。
薄板軽量形鋼造の専用の構造計算ソフトや、主要な一貫構造計算ソフトのオプション機能として対応しているものがあります。有効断面の算定や座屈の検討が正しく行えるソフトウェアを選ぶ必要があります。
計算方法自体は同じですが、建物重量が木造よりやや重いため、風による引き抜き力(アップリフト)に対する検討がより重要になります。特に屋根と壁、壁と基礎の接合部の設計には注意が必要です。
建物の平面形状が複雑な場合、地震時に建物がねじれやすくなります。構造計算では、建物の重心(重さの中心)と剛心(強さの中心)の位置を算出し、両者のズレ(偏心率)が規定値以下になるように耐力壁をバランス良く配置します。
構造用合板、構造用パネル、せっこうボードなどが使用可能です。材料や片面張り・両面張りなどの仕様により、告示で定められた壁倍率(耐力)と、使用するねじの種類・間隔が異なります。
圧縮材の有効細長比(座屈のしやすさを示す指標)には、柱で200以下、柱以外の圧縮材で250以下という制限があります。これにより、部材が地震や荷重によって折れ曲がってしまうのを防ぎます。
屋根下地材に構造用合板などを使用し、屋根面が一体となって水平力(地震や風の力)に抵抗できるように設計します。トラス(小屋組)を用いる場合は、その部材や接合部が十分に安全であることを構造計算で確認します。
材料の受入検査(寸法、品質、めっき仕様の確認)、加工精度、接合部の施工(ねじの締付けトルクなど)、部材の配置精度、切断面の防錆処理などが重要な管理項目です。
省エネ基準の強化や構造基準の見直しなど、建築関連法規は常に改正される可能性があります。本告示も、新たな技術開発や知見に基づき、将来的に改正される可能性があります。常に最新の情報を確認することが重要です。
壁で建物を支える「面構造」である点は共通していますが、主材料が木材か鋼材かという点が最大の違いです。鋼材を用いることで、シロアリ被害がない、品質が均一、リサイクル性が高いといったメリットがあります。
はい、非常に容易です。導電性のある構造躯体に直接アース線を接続できるため、木造住宅に比べて確実な接地が可能です。これはオーディオや特定の家電製品にとって有利に働く場合があります。
鋼材は有価物として買い取ってもらえるため、解体費用を相殺できる可能性があります。また、木材に比べて廃棄物量が少なく、リサイクル率も高いため、環境負荷が小さいと言えます。





