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【技術解説】木質系混構造における「地階1階・地上3階」の判定の重要性と、適用規準・設計ルートへの影響について

【構造設計の要点】木質系混構造における「地階」判定が設計ルートに与える影響

木造および木質系混構造の構造設計において、「最下層が地階扱いになるか、地上1階扱いになるか」という判定は、単なる地震力の割増計算の要否にとどまる問題ではありません。

本稿では、混構造の構造設計と、2025年(令和7年)4月施行の法改正による最新の動向を踏まえ、実務上の留意点を解説します。

1. 木造・混構造における設計ルート

構造計算ルートは構造種別によって適用条件が異なります。木造は建物の規模(階数、高さ、面積など)によって選択可能な計算ルートが厳格に制限されます。

例えば、木造において「3階建て」を超える規模となった場合、ルート1(許容応力度計算)を選択することができなくなり、ルート2やルート3といったより高度な計算手法が要求されます。木質系混構造においても、この「木造側の条件」が設計のハードルに直結します。

2. 「木質系混構造建築物の構造設計の手引き」の適用範囲

現在、立面混構造(下層がRC造/S造、上層が木造)の構造設計は、原則として「木質系混構造建築物の構造設計の手引き(2019年版)」(以下、手引き)に則って行われます。確認検査機関の審査も、この手引きを拠り所として進められます。

手引きの第1章「1.1.2 本書の適用範囲」には、以下の5つの条件が明記されています。

  • 地階を除く階数が3以下であるもの
  • 下層が鉄骨造又は鉄筋コンクリート造(壁式鉄筋コンクリート造を含む)であるもの
  • 上層が木造であるもの
  • 高さが13m以下、かつ、軒の高さが9m以下であるもの(※後述の法改正による緩和あり)
  • 延べ面積が500㎡以下であるもの

ここでの最大の焦点は「第1項」です。
最下層の外周75%以上が地盤面下にあり「地下1階」と判定されれば、「地下1階+地上3階」となり、上記条件を満たすため手引きの範囲内で設計・審査が可能です。

しかし、地盤面の設定等により最下層が「地上1階」と判定された場合、「地上4階建ての立面混構造」となり、手引きの適用範囲から外れることになります。

3. 適用範囲外(地上4階の混構造)となることの技術的課題

手引きの適用範囲から外れた混構造には、現在、実務ベースで依拠できる明確な規準が存在しません。この場合、以下のような極めて困難な状況が発生します。

設計者側の負担増大:
特殊な水平力の分担や接合部等の処理について、設計者が独自に工学的見地から安全性を証明しなければなりません。
審査側の判断基準の不在:
確認検査機関においても「何に則って検査すればよいのか」の明確な判断基準(マニュアル)がないため、審査が手探り状態となります。

結果として、確認申請の検査ハードルが上がり、スケジュールやコスト面でプロジェクトに多大なリスクをもたらすことになります。混構造においては、「手引きの範囲内で設計すること」が実務上の大前提であり、ここを逸脱する場合は初期段階から入念な調査研究と審査機関との事前協議が不可欠です。

4. 【最新動向】2025年4月法改正による高さ緩和の影響

なお、適用範囲の第4項に規定されている「高さ13m以下、軒高9m以下」という制限については、2025年(令和7年)4月施行の建築基準法改正により、木造のルート1相当における規模制限が「高さ16m以下」へと緩和されました。

これに伴い、手引きにおける適用範囲の高さ制限についても新法に準拠し、実質的に緩和されることとなります。ただし、高さが緩和されても「地階を除く階数が3以下」という階数制限が撤廃されたわけではありません。階数の算定(地下判定)の重要性は、依然として変わらない点に注意が必要です。

「構造上の地階かどうか」は、混構造において単なる割増計算の要否にとどまらず、「確立された規準(手引き)を適用できるか否か」というプロジェクトの根幹に関わる問題です。基本設計の初期段階において、地盤面の設定と階数判定を正確に行うことが、円滑な構造計画の要となります。

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