建築設計や耐震補強などの実務に関わる皆様、こんにちは!アルキテック株式会社です。
本日は、実務において非常に重要となる「耐震診断・耐震改修設計業務報酬基準(平成27年国土交通省告示第670号)」について解説します。
耐震改修のニーズが高まる中、適切な業務報酬を算定することは、質の高い建築設計を持続させるために不可欠です。この記事では、告示の概要から実務での算定方法まで、ポイントを絞って分かりやすくお伝えします。
なぜ新しい業務報酬基準が策定されたのか?
これまでも設計や工事監理等の業務報酬基準(平成21年国土交通省告示第15号)は存在していましたが、住宅や建築物の耐震化をさらに促進するためには、耐震診断や耐震改修設計の「質の確保」が求められていました。
そこで、これらの業務が適正に実施される環境を整え、報酬が合理的かつ適切に算定できるよう、新たに特化した基準として「平成27年国土交通省告示第670号」が定められました。
設計や工事監理の契約を結ぶ際は、この基準に準拠した委託代金で契約するよう努めることが建築士法で求められています(努力義務)。
報酬算定の2つのアプローチ
本基準では、報酬の算定方法として大きく分けて「実費加算方法」と「略算方法」の2つが示されています。
1. 実費加算方法(原則)
個別の経費を積み上げて合算する、原則的な算定方法です。
- 計算式: 直接人件費 + 直接経費 + 間接経費 + 特別経費 + 検査費 + 技術料等経費 + 消費税相当額
- 特徴: 業務内容の変更等に柔軟に対応でき、算定根拠が明確になります。
2. 略算方法(実務で便利!)
耐震業務の実情に合わせて、簡便に積算できる方法です。標準的な業務内容を実施した場合の業務量があらかじめ示されています。
- 計算式: (直接人件費) × 2.0 + 特別経費 + 検査費 + 技術料等経費 + 消費税相当額
- ここでの「直接人件費」は、告示で示されている「標準業務人・時間数」に「人件費単価」を掛けて算出します。
実務で使える!略算方法のステップ
実務で略算方法を活用する際の基本的な流れは以下の通りです。
- 標準業務量の確認: 対象となる建物の床面積と構造種別をもとに、告示の「略算表」から該当する業務人・時間数を確認します。例えば、5,000㎡のRC造の場合、耐震診断の標準業務量は740人・時間です。
- 追加業務の付加: 標準業務に含まれない業務(図書の復元や補助金申請など)を行う場合は、その分の業務量を上乗せします。
- 直接人件費の算出: 算出した総業務量に、事務所ごとの人件費単価を掛けます。
- 経費の合算: 直接人件費を2倍し(直接経費と間接経費を含むため)、そこに特別経費、検査費、技術料等経費を加えます。
注意すべき「標準業務に含まれない業務」
略算表で示されている時間は、あくまで一般的な「標準業務」のものです。以下のような業務は標準業務に含まれないため、別途業務量を加算して請求できることを覚えておきましょう。
- 既存図書がない場合の、設計図書の復元業務
- 補助金交付申請に必要な図書の作成
- 専門機関による評価取得業務(いわゆる評定の取得など)
- 非構造部材や設備機器の耐震診断・改修設計
- 木造建物の白蟻被害調査
参考資料・関連リンク
本記事で解説した業務報酬基準の原文や、より詳細な事例をまとめたパンフレットは、以下の国土交通省の公式ページよりご確認いただけます。実務の際にご活用ください。
耐震診断・改修設計のサポートならお任せください
建築士として適切な対価を得ることは、責任ある仕事を提供し続けるための基盤です。
アルキテック株式会社では、耐震診断や耐震改修設計に関するご相談、実務のサポートを承っております。複雑な構造の設計や、報酬算定に関するお悩みなど、実務でお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。









