「液状化対象層」の判定基準と地盤調査の指示はどうする?
地盤は建設地によって千差万別です。実務で構造設計や地盤調査に関わっていると、「液状化対象層」の判定基準や、ボーリング調査時の適切な指示方法について迷うことがよくあります。
今回は、「2025年版 建築物の構造関係技術基準解説書」に基づく液状化対象層の基準と、実務で標準的に用いられる地盤調査の指示ノウハウをまとめました。
1. 基準から読み解く「液状化対象層」の条件
建築基準法施行令第93条では地盤の許容応力度の算出について定めていますが、地震時に液状化のおそれがある密実でない砂質地盤については、別途検討が必要です。
液状化のおそれがある地盤とは、概ね以下の4つの条件すべてに該当する砂質地盤を指します。
- 地表面から20m以内の深さにあること
- 砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること
- 地下水で飽和していること
- N値が概ね15以下であること
詳細な判定を行う場合は、標準貫入試験等の結果に基づき、各層ごとの液状化に対する安全率(F値)を求める方法が一般的です。F値が1を超えれば、液状化発生の可能性が低い(しない)と判断されます。
この判定に必要な地表面加速度(地震動のレベル)については、中地震時の検討として最大加速度200galと設定することがよく行われています。
2. 実務における地盤調査(ボーリング調査)の指示
実務において、構造設計者が地盤調査会社等に対してどのようなスペックで調査を依頼すべきか、標準的なポイントをまとめました。
ポイント①:支持層の確認条件を明確にする
ボーリング調査では、どこまで掘り進めるか(支持層の確認)が重要です。
実務では、「N値50以上が連続で5.0m以上」を確認するよう指示し、これを支持層と判断する基準とするケースがよく見られます。
ポイント②:液状化検討に必要な試験と条件を指定する
液状化の可能性がある層に対しては、必ず追加の試験と検討条件をセットで指示します。
- 液状化対象層すべてにおいて「粒度試験」や「細粒分含有率試験」の実施を指示します。
- 液状化検討の条件として、中小規模建築では「砂層で150gal及び200galにて検討」を行うよう、具体的な加速度を指定して依頼することが一般的です。
ポイント③:地盤改良を見据えた各種試験の指示
液状化だけでなく、将来的な地盤改良(柱状改良など)の可能性も考慮し、軟弱層に対する試験も併せて指示しておくことで、設計の手戻りを防ぎます。
- 粘性土の各層においてN値が最も低い(または低い)箇所で、「圧密試験」や「三軸圧縮試験」を行うよう指示します。
- 10.0mまでの範囲でN値が低い軟弱層(1〜2箇所程度)を対象に、「孔内水平載荷試験」を行うよう指示します。
3. まとめ
液状化対象層の判定は「深さ20m以内」「均一な砂質土」「地下水飽和」「N値15以下」という4つの条件が基本です。
地盤調査を依頼する際は、ただ「調査をお願いします」と投げるのではなく、支持層の定義(N値50以上が何mか)や、液状化対象層に対する粒度試験、150gal・200gal・350gal等での液状化検討などを具体的に指示することが、円滑な構造設計を進めるための鍵となります。
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地盤調査の的確な指示は、安全で経済的な建築物を設計するための第一歩です。しかし、プロジェクトごとに異なる敷地条件や地盤の特性を見極め、適切な調査スペックを判断するのは簡単なことではありません。
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