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CFS工法(薄板軽量形鋼造)プランニングの要点

CFS建築プランニングの講座案内バナー。女性が tablet を手に、図面と工具が背景の設計教育イメージ。

実務設計における重要ポイントを構造設計者の視点から整理します。枠組壁工法の経験がある設計者がCFS工法へスムーズに移行するための技術リファレンスとして活用ください。

1. 基本仕様と適用範囲

CFS工法における建築可能規模および基本スペックは以下の通りです。

  • 用途・建築可能面積: 法令上の制限はありません。
  • 階数: 地下1階(RC造)、地上3階+塔屋まで対応可能です。
  • 防耐火: 告示仕様にて1時間耐火構造まで対応可能です。
  • 設計モジュール: 建枠材(柱)および床根太は原則455mmピッチで構造設計されるため、平面計画は尺モジュールを原則とします。容積消化等でモジュールを崩す場合は、均等割りではなく建物端部など1ヶ所で処理することが経済的です。

2. 躯体寸法と断面・配置計画の基礎

階高の制限

使用する耐力壁の面材によって、壁パネルの高さ制限が異なります。階高を大きく確保したい場合は面材の選定に注意が必要です。

  • ✅ 構造用合板の場合: 2430mm ≤ 壁パネル高さ ≤ 3030mm
  • ノボパン(パーティクルボード)の場合: 2430mm ≤ 壁パネル高さ ≤ 4230mm

外壁厚の取り扱い

CFS工法は外断熱が標準仕様です。斜線規制や敷地境界からの離隔距離を検討する際、外壁仕上面は通り芯から120mmとして計画します。

寸法の内訳:下枠ランナー幅の半分(46mm)+ 構造用合板(9mm)+ 断熱材(25mm)+ 通気木胴縁(18mm)+ サイディング(16mm)= 114mm。これに施工誤差を考慮し120mmとします。
※外壁仕上げは窯業系サイディングを前提として計画します。

外壁の交差角度は自由に設定可能ですが、極力90度(直角)での計画が推奨されます。

3. 構造計画の基本ルール(平面計画・耐力壁)

平面計画は、各居室を寄せ集めるのではなく、法規上可能な「大きな四角形」を「小さな四角形(耐力壁線区画)」に分割していくアプローチを取ります。また、上下階の内部耐力壁の位置を揃えることが重要です。

耐力壁線と区画の制限

  • 耐力壁線間距離: 1区画の辺の長さは12m以下とします。
  • 耐力壁線区画面積: 区画の最大面積はアスペクト比(短辺/長辺)により制限されます。
    ・アスペクト比が 1/2 以上の場合: 72m² 以下
    ・アスペクト比が 1/3 以上 1/2 未満の場合: 60m² 以下

開口部の制限と隅角部の処理

  • 壁開口率: 1つの耐力壁線における開口部幅の合計は、その耐力壁線長さの3/4以内に収める必要があります。
  • 最大幅: 原則 W ≤ 4m とします(構造計算により4m超も可能)。
  • 隅角部の処理: 隅角部に開口を設ける場合、原則として W ≤ 2000mm とします。X・Y両方向を開口にする場合は、必ず一方は腰壁付きの開口として計画します。
  • 壁端部の処理: 1つの耐力壁線の両端を開口部にすることは構造上不安定となるため、可能な限り一方は耐力壁を配置してください。

耐力壁のカウント基準

在来軸組工法と異なり、耐力壁線上に配置された壁のみが耐力壁として計算されます。W=910mm を「1P」として壁量をカウントします。

⚠️ 4. 特殊形状に関する規定(要注意事項)

構造上の弱点となり得る以下の形状には厳格なルールが存在します。

  • ✖ 禁止スキップフロア: 柱(建枠材)の中間部に水平力が作用すると座屈の恐れがあるため、スキップフロアは全面的に禁止されています。
  • △ 制限オーバーハング: 原則不可として計画することが無難です。構造計算で安全性を実証した場合に限り、最上階でのみ許容されます。
  • ℹ 注意立面セットバック: 最上階のセットバックは原則として直下の階に耐力壁線を設けます。直下に壁がない場合は耐力壁の評価が低減されます。
  • ℹ 注意母屋下げ: 母屋下げする外壁に直交する耐力壁を4P(3640mm)以内の間隔で設置する必要があります。

5. 床組・屋根・その他の計画

搬入計画と床根太スパンの制限

CFSはパネル工場で躯体を製作し現場へ搬入するため、前面道路幅員が4m未満の場合、2t車での搬入ルート確認が必須となります。
2t車搬入の場合、パネルサイズの制約から床根太の最大スパンが4m程度以内に制限される点に最も注意してください。

構造計算上はスパン6m程度まで可能ですが、たわみや振動を考慮し5P(4550mm)以内に納めることが推奨されます。大空間でスパンが飛ぶ場合は、鉛直力のみを負担する「支持壁」を設けて根太を受けます。(在来木造のように梁を独立柱で受けることは不可)

バルコニーと床開口部

跳ね出しバルコニーは構造計算により1500mm程度まで可能ですが、防水処理の都合上サッシ下が200mm程度立ち上がります。掃き出し窓とする場合は置床等でレベル調整するか、先端に支持壁を設ける支持バルコニーとします。

階段や吹き抜け等の床開口部は、面積が 6m² を超える場合は開口部直下に耐力壁線区画を設ける必要があります。

まとめ

「大きなブロック配置からの設計(平面の四角形分割、上下階の壁位置一致)」を行えば、概ね構造的な不整合は生じません。特に「ノボパン使用による階高緩和」「スキップフロアの禁止」「搬入経路に起因する根太スパン制限」は、プロジェクトの成立を左右する要因となるため、初期段階で十分に留意して計画を進めてください。

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